三日目ー29日 フレペの滝早朝散策編


この日は、知床オプショナルツアーというところに頼んで、フレペの滝の早朝散策をすることになっていました。朝五時半に、ツアーの車が宿まで迎えに来てくれます。


4時45分に目覚ましをかけましたが、日課二度寝をするために、5時に目覚ましをかけなおしました。私にとって、朝、4時45分に起きるなんて未知の世界。この時間帯に、目が開いている状況で言うならば、どちらかというと、論文作業で、寝ないで起きていることのほうが多い時間帯です。しかし、うちの相方は、この一週間ほど、仕事、そしてこの旅行のために、五時半おきが続いていたとのこと。はあ、反省します。


朝、早く目が覚めると気持ちが良いモンですね。朝温泉に入って、適当に準備して、玄関で迎えを待ちました。宿は、ちょっと山奥にあったのですけど、坂の下から結構なスピードでくる車の音が。オプショナルツアーの車でした。田舎に来るといつも思うのですが、ほんと、田舎の人の運転は速い。以前、天売・焼尻に行ったときも思いました。町中の道を知り尽くしているので、どこで人が出てきやすいかも知っているんですね。よって、早朝は人がいるはずもなく、どんな道でもかなりのスピードで走っているように思われます。静かだからなおさら音が響いたのかな。


一緒にツアーに参加された方々は、40歳代男性二名、老夫婦、私たちでした。ガイドは鈴木さんという方。30歳代後半かな?とても丁寧にお話をしてくださる方でした。


フレペの滝周辺は、こんな感じに道が整備された2キロのトレッキングコース。鹿にも出会えます。


このツアーは、岬にあるフレペの滝を目指して歩いていくこととなります。道すがら、鳥の鳴き声と、バードウォッチングを楽しめます。ネイチャーガイドの方が、野鳥を見つけては立ち止まり、望遠鏡で見せてくれます。


笹原がみられる一次林、白樺がみられる二次林を通り抜けると、草原が広がります。海からの風が強いため、木が生長できず、ここら辺一帯は草原が広がっているとのこと。


笹原、その奥に白樺。白樺は、風が強くても光がほしい木。なので、風が強い岬沿いでも、生長できる。白樺がある林は、比較的新しい林です。


トドマツが見え始めた二次林。トドマツが生えてくると、光を必要とする広葉樹である白樺は、姿を消していくことなります。


白樺から取れる樹液が、キシリトール。五湖のときのガイドさんが、樹皮に筒をさして採れた樹液でコーヒー飲んでごらん、おいしいよって言っておりました。ま、ここは、国立公園かつ世界遺産地域なのでだめですけどね。一度試してみたいモンです。


生物の授業を覚えている方、下の写真はシダ類だということがわかりますね。私は、これ、シダ類のなんだろうと思って歩いておりました。ガイドさん曰く、わらびですよう、とのこと。ここは国立公園かつ世界遺産なので動植物の採取は禁止されております。なので、わらびはうまいということはわかっていても、採ってはいけないのです。私が目にしたものは、すでにはっぱになっていたので、食べられない、取れないと状況。なので、我慢できますが、6月くらいにトレッキングに参加した人たちからは、食べられないのが残念だという声が発せられたそうな。確かに、ここら全体がわらびならば、私も驚嘆すること間違いなし。


みなさん、これなんの跡だかわかります?

ヒグマがありんこを探してつついた跡なんですって。
実は、先ほどご紹介したツアー参加者の老夫婦、前日もこのツアーに参加したとのこと。しかし、トレッキングの最中、ヒグマに遭遇し、そこでツアーが中止に。よって、次の日のツアーに参加されていたようです。つまり、この跡は、おそらく前日に目撃されたヒグマが残したものだと考えられます。ヒグマに出会えず残念ですが、こんなにも近くにヒグマがいるのだなあと感じられ、びっくりでした。


ヒグマは何でも食べるとのこと。草も、ありも、鹿も、しゃけも、何でも食すんですと。ありなんて食べたってろくにお腹が膨らまないだろうとおもうのですけど、以前、捕まえたヒグマのお腹を開けてみたところ、10キロもありんこが出てきたんですと。びっくりですな。


さて、空を見上げて旅に出ようにもかかれておりましたが、知床が世界遺産として認められた理由は、手付かずの原生林があるということもひとつなのですが、それがすべてではなく、原生林、海、自然再生運動による林の存在によって可能となっている生態系の多様さなんですよね。その結果、ヒグマは狭い範囲で生きることができるし、多くの野鳥にも出会うことができる。自然美を求め知床に来る人たちも多いとは思うのですが、本当に理解しなければならないことは、この自然美によって可能となっている生態系の多様性なんですな。このツアーに参加して、きちんと遺産として知床について勉強しなければなあと思いました。知床にこれから行きたいと考えている人は、目では見えない部分、生態系というものの多様性について少し勉強してから行った方が面白いと思いますよ。


さて、講釈しすぎました。
フレペの滝に着きました。
この写真が、フレペの滝と岬を説明するのにもっとも適しているので、アップしました。この写真、ガイドさんが展望台の柵に登り、体を張ってとってくれました。岬も滝も入るベストポジションらしいです。顔の色は気にしないで下され。


写真後ろの右側に流れているのが、フレペの滝。この滝は別名「乙女の滝」といいます。しとしと流れる様からそう名づけられたそうな。左側にみえる岩の白いところ、なんだかわかりますかな?この岸壁は、海鳥のコロニーになっており、そのフンのあとですがな〜。と、写真を撮ってくれているガイドさんが、大変ですと興奮し始めました。ガイドさん、さっきから、海鳥の様子がおかしいなと感じていたとのこと、なんでだろうと岬に目をやってみると、そこになんとハヤブサがぁ〜。「すみません、興奮してしまい」とガイドさん。私たちのデジカメを望遠鏡につけて、ハヤブサをとってくれました。とても、貴重な映像ですよう、とのこと。

ほかにも、いろんな野鳥も見ることができました。オジロワシとからすの対決もみれました。
「みなさん、こんなにたくさんの野鳥、そしてハヤブサがみれるなんて、かなりついてますよ」と、ガイドさん。「通常よりも10分ほど長くなってしまいました〜、私のほうが興奮してしまいまして、すみません」とガイドさん。とても腰の低いガイドさんでした。ありがとうございました。


そんなこんなで終わった早朝ネイチャーウォッチング。一時間ほどで、一人2000円でした。大満足でした。