非常勤講師

今週の金曜日を最後に、非常勤講師の呪縛から解き放たれます。
うれしいような、寂しいようなそんな感じですが、
「呪縛」と書いているように、日常生活を遂行する上で、負担であったことは確かです。
生きるためには仕方がないのですが。


今回の非常勤講師、とても勉強になりました。
これまでの非常勤先は、看護学校や専門学校のみでした。
このたび初めて、高等教育機関たる短大、四大で非常勤講師をしたのですが、
看護学校や専門学校とは話が違います…。


何が違うのかというと、「授業に対するモチベーション」です。
看護学生はまじめ、専門学校生は資格取得のために必死。
しかし、短大生や大学生は、必修だから取っているみたいに、
授業に対するモチベーションが低いのです。
自分の学生時代を考えてもそうでしたしね。


そういう学生と向き合うには、それなりの仕掛けが必要となってきます。
一年生や二年生であるので、自分で考える技術というものがまだ身についていません。
なので、講義方式を維持しつつ、自分で考える機会を提供しつつ、できる限り、多くの学生と向き合うような。
学生と向き合うといっても、学生一人ひとりに声をかけることは難しい。
なので、なるべく、授業に参加させる機会を設けました。
「これについて、Aと思う人は?」「Bと思う人は?」
もちろん、恥ずかしがって手を上げない人もいます。
自分も学生時代そうでしたしね。
でも、とにかく問いかけることが大事。
その際、右から左まで、学生の顔を見ることが大事。
問いかけることで、彼らはそれなりに心の中で、確認します。
そこから、彼らが自分自身の関心に結び付けて、授業を聴いていこうとします。


気がついたら、学生たちのいろんな変化を感じることができました。
4月当初、マンガばっかり読んでいた学生が、ノートを一生懸命取っていました。
4月当初、机に突っ伏していた学生が、顔を上げて、授業を聞いています。
授業が終わった後に、私に話しかけていく学生が増えてきました。
こうなってくると、だんだん、学生たちがめんこくなってきます。


自分の考えを延々と語る大学教員もいます。
そういう教員は、それだけの知識を持っているわけで、私は尊敬します。
でも、そういう教員に尊敬の意をもてるのは、おそらく大学3年くらいから?もしくは、大学院生になって初めて、というのがほとんどなんじゃないでしょうか。
若い世代に迎合した形で授業を進めることはよくありません。
しかし、彼らは研究者を目指すわけではないのですから、彼らが社会に出たときに、ある程度有用な知識を提供することが、これからの大学教育には求められてくる時代です。
そこの兼ね合いが難しいですね。
一番いいのは、自分の研究を、彼らの視点と結びつけて、話を提供できる教育力でしょうけれど、私なんかのような下っ端は、まだまだまだまだまだ。。。


そんなことをぐだぐだ思いつつ、自分自身も楽しくなってきたころに、授業は終わりとなってしまうのが、非常勤講師の寂しいところ。
来年、また、新たな関係を築いていかなければなりません。
基本、人見知りの私なので、学生との距離を縮めるのに、ちょっくら時間がかかります。
それを考えると、楽しい非常勤講師ではありますが、少しげんなりしてしまいます。


今回の学生が、少しでも授業の内容を覚えていてくれて、
自分の興味関心につなげてくれたらありがたいなと思う、今日この頃です。
いまは、学生たちに、楽しい時間を一緒に作ってくれて、ありがとうと伝えたいです。