J.M. クッツェー

カズオ・イシグロに続き、
今度はJ.M. クッツェーにはまろうと思っています。
この人、なんと二回もブッカー賞に輝いているんです。
2003年には欧米圏以外の人として、大江健三郎以来、ノーベル文学賞に輝いてます。


今回読んだのは、これ。

恥辱

恥辱


う〜ん。
話自体はわかりやすい…。
興味のある方は、アマゾンの本紹介を参照されたい。


舞台はアパルトヘイト撤廃後の南アフリカ
差別とうものが、被差別されているものの生活だけではなく、
構造的に差別する側として位置づけられている人々の生活に
どう身体化されているかといった内容。
それにより導かれる悲劇。
特にアパルトヘイト後ということがポイントかな。
文章も、その意味で軽いタッチになっているとか・・・。


差別、区別というものが、決して一側面から捉えられるものではない。
これはあえて言うまでもない周知のことであろうが、改めて考えさせられる本。


差別される側の視点から構造的暴力について書かれている本は沢山あり。
だが、差別する、している、してきた側の視点から、
その差別の身体化の状況が描かれているといったん点から見れば、
おもしろいのかな…。


話のそこここに、オペラの内容がおりまぜられているのだが、
文化資本が決して高くない私にとって、
それをリンケージしながら読むことができなかったため、
ちょっと物足りない結果になってしまったんだろうな。


個人の生活から、全体社会のうねりを描き出すというスタイルは、
カズオ・イシグロにも感じた点であるけれど、
カズオ・イシグロの文章に比べると、少し雑な気がした。
というか、カズオ・イシグロの文章が丁寧すぎたのかな。


でも、「皮肉」な結末といった点をもう少し楽しむことができれば、
傑作といえるでしょう。


たぶん、もう一度ゆっくりよんだならば、
その文章のかもし出す意味が読み解けるような気がします。
一年か、二年ブランクを置いた跡に呼んでみましょう。


次は、これを読もうと思います。
すでにアマゾンに注文しちゃいました。
今朝、届きました。
これもブッカー賞を受賞した作品。

マイケル・K (ちくま文庫)

マイケル・K (ちくま文庫)